ウェブマスターはネットの奴隷か? 迷惑ピープルも自己研鑽のヤスリ。
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サイト運営が軌道に乗ると、メールが届くようになります。サイトが一定の評価を得た指標とも受け取れて、嬉しいものです。
で、初めのうちは熱心にお返事を書きます。
メールが増えるにつれ、なんだか無礼で厚かましい内容のものが目立ってくるのは、どこの国でも同じです。
いわく「○○について教えてくれ」「○○はどこにあるのか」「○○を作ってくれ」「○○に関するコンテンツが欲しい」・・・・・・
せっせと調べて丁寧に応対しているうちに、空しくなってきます。なんの因果で見ず知らずの人々にここまで尽くさにゃならんのだ?
世の中には「HP管理者は訪問者にいろいろ教える義務がある」を信条として押しつける人々がいます。人呼んで「教えてクン」。
同類項として「くれくれ君」や「作ってくん」などもあり、基本的態度は共通しています。「逆ギレ君」に発展することも稀ではないそうな。
掲示板などにも出没するのですが、自己中心性が際立つのは、やはり人目に触れないメールかと思います。
英語版をお持ちなら、海外には日本人以上に図々しい人が多いことを痛感しているはずです。彼らはゲストブックよりも、圧倒的にメールで攻めてきます。
教えてくんに狙われるジャンルやテーマというものはあるようです。
素材やプログラムの無料配布系、情報やデータ提供系、講座やマニュアル系など、便利で役立つ内容のサイトです。
「こんないいものをタダで提供してるんだから、きっと親切な人に違いない」と思わせてしまうのでしょうね。
うちではクレクレ君も多いんです。「○○を送ってくれないか」とかいうの。インターネットの匿名性が、こういうさもしい連中を生み出すのです。
根が親切な私は、あらゆるメールに対して、(一応)懇切丁寧な返信を、最近までしておりました。
今ではかなりシビアに切り捨てます。
忙しくなったことが最大の理由です。
また、過度に親切な応対が教えて君をはびこらせ、ほかのウェブマスターたちに迷惑をかけ、ネットの荒廃に拍車をかけるのではないかという危惧が挙げられます。
「私も昔は教えて君だった」と述懐する人がいます。
しかしそれは謙遜だと思われます。「初心者」を諧謔で言い換えただけでしょう。
真正教えてクンは自分が教えてクンだと気づかないのですから。
教えて君は初心者です。無知な人です。
しかしそれは素質です。性格に根ざします。親の躾とDNA、及び生育環境が作り上げたのです。
自ら学ぼうと努力しないから、いつまでも無知のままです。性格だから、多少の知識を得ても治るものではありません。自分が教えて君だと認識していないから、教えて君批判文を読んでも平気です。悪いと思っていないから、諭されて悔い改めることなどありません。
教えて君は死ぬまで教えて君なのです。教えて君が成長したら普通の人に変身するわけではないのです。
私自身はたちの悪い教えてクンに遭遇した経験はないので、上手な対処法を指南するには力不足です。
ただ、面と向かってのお説教や苦言は控えるべきだとは想像できます。解決への道から遠ざかるだけですから。
メールと掲示板ではやり方が違ってくるのは当然です。
気に入らないメールは闇へ葬ることができます。どこかへ保存しておくと、弾みで目に触れて不快になるので、完全に削除するのがベストです。
わざわざ断りメールやわかりませんメールを書いて理不尽な恨みを買うよりは、返信しないほうが賢明というのは、相互リンク依頼と同様です。
片や、衆目にさらされている掲示板では、大人げない真似は禁物です。できる範囲で優しくそして易しく答えてあげましょう。
せこいとかブリッコとか思われても、自分の掲示板を守るのはウェブマスターの処世術です。あまりしつこくされたら、無言でIPブロックをかけるのみ。
人目があるだけに、巧みな演出によって、管理人の寛大さと心の余裕を、教えて君のアホさ加減と対比させることができます。教えて君は自分の引き立て役だと思えば、嫌悪感も薄らぎ、平静な態度をとれるものです。
「私は親切」と自慢(自嘲)したけど、その割に短気なんですよね。
別に盛況というわけでもないのに、気に入らないカキコがあるとすぐにBBSを閉鎖してしまい、しばらくして別な形で再開ということを繰り返しています。英語版も日本語版もそれぞれ5つ目くらいで、今はどちらも質問受付に限定しています。教えてクンが来るのは覚悟の上ですが、「ページ上で済むことはページ上で済ませる」が、メール嫌いな私の基本方針なのです。
ABC掲示板での質問例を紹介します。
「すみませんー インターネットの角のマークが数字になってしまってます。どうしたらいいでしょうか」
『インターネットの角』という、あまりにも創造的な表現に感動いたしまして、つい丁寧なレスをしてしまい、別な人から「自分ならああいうのは削除する」と呆れられました。
でもまあ、私自身「インターネットの角の文字化け」一歩手前のトラブルに遭遇し、ネットで調べて解決したばかりでした。覚えたての知識をひけらかすチャンスという自己都合があったわけなのです。
知らないことに答えるのは無理だし、できないことを請け負うのは軽率です。自分の性格と能力に合わせて、当たり障りなく受け流すのが無難でしょうね。
質問内容や相手によって答えの濃度に差が出るのは致し方ありません。万人が回答に満足するという期待は持たないように。
私は「教えて君をウェブから撲滅しよう」なんて過激な思想は振りかざしません。
それどころか私のサイトは、教えて君や作ってクンに支えられていると断言してもいいほどです。教えて君なしでは現在の充実はなかったでしょう(充実って、ページ数のこと?)。
成長したい人には、我以外皆師です。『批判されるサイトを目指す』で述べたように、管理人の姿勢次第で、茨もトゲも珠となるのです。
以前こんな英語メールをもらいました。
「私がplush dollを作りたいと言ったら、ある人があなたのサイトを紹介してくれた。しかしいったいどこにplushの作り方が載っているのか」
アンタはある人がパンダはピンクだと言ったら、パンダに苦情のメールを出すのかよ。内心毒突きつつ、親切(お節介)な「ある人」の顔を立てようと、精一杯丁重な返信をしましたよ。
そのころからplushに関する問い合わせが増え始めました。概ねティーンの女の子・・・典型的教えてちゃんです。その人気と市場性は無視できないと感じました。
結果、プラッシュファンが好みそうなコンテンツをたくさん追加し、アクセスアップに貢献しております。
日本アニメの台頭がプラッシュ人気の要因ですが、海外のファンにとって、日本文化は難解な面があります。
アメリカの女の子から、Inuyashaの服を作りたいけど詳細がわからないから教えてというメールが来ました。
私も1年近く前にInuyasha dollを作るとページ上で宣言したあげく放置していたので、この際一気にやっちゃおうと、あれこれ調べて、それはそれは親切に応対しましたが、挫折したのか、ひとことの礼もなし。
でも長い間の懸案だった犬夜叉人形が完成したし、触媒となった彼女には感謝します。
私はハンカチで作るショーツのサイトを持っています。
とある日本人男性から「ネクタイでTバックを作ってちょ」というメールが来ました。
不要なネクタイが何本かあったので、ちょこちょこっと作ってページに載せたところ、欧米で望外の人気を博してしまいました。
それはいいのですけど〜、「ネクタイパンツの作り方を教えてくれ」「型紙を載せてくれ」と、新たな教えてクンを誘発することになり、いささか閉口しています。
おまけに、くだんの作って君からは、その後も続々と「新聞紙でパンティを作って」「スーパーの袋で作って」など、数十通の要望が届き、げんなり・・・。
ともあれ私は、原則的に教えてクンを歓迎します。
どんな内容であれ、心の片隅に留め置くことを心がけています。いつかWeb上で実現の機会がつかめるかもしれません。たとえ返信がなくても、希望を捨てずにお待ちください。