インターネットの男と女

世の中には女と男しかいないのです。

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顔が見えないから想像力が飛躍?

この「ABCが苦手でも」の一部だけを読んで、私を男性だと思い込んでしまう人が少なからずいらっしゃいました。

文体、テーマ、行間からのぞく人間性・・・何をもってして男女の区別をつけるのかは不明ですが、どうやら人には、無意識のうちに性別を特定してページを見ないと落ち着かないといった心理が働くようです。
ページの内容だけを重視するならば、本来個人情報にさしたる意味はないはずです。あらかじめレッテルを貼ることで、なにがしかの歪んだ評価をしてしまうおそれは大です。

などと、自分のことは棚に上げ・・・。
かくいうわたくしも、他人様のHPを見ながら、オーナーの体型・ヘアスタイル・顔立ち・下着の好みまで想像をたくましゅうするという習癖を持っております。

その手法は、小さな文字が並んでいれば小柄で痩せ形、Comic Sans MSを多用する人はころころ小太り、文字や画像が乱れ散っていたらボサボサ頭、など、画面から受ける他愛ない連想──かもしれません。世間には私のような人もいるので、ページデザインはよくよく考えましょう。
では、脚が長いと錯覚させるデザインは??

以前から知っていたサイトのオーナーについて、ある時顔写真を拝む機会を得たのですが、当然のことながら、想像からだいぶ外れておりました。それはそれで置いといて、その後もその人のページを見るたびに、自分ででっち上げたイメージのほうが強引にぶり返してしまうのです。

あなたは男ですか、女ですか

メールの相手が女性か男性かわからずに困惑した経験はありませんか。

メーリングリストでShawnという名前の人と知り合い、メールや画像をやり取りする仲となりました。

ShawnはJohnの亜型で、典型的な男性名です。
でもなんとなくその人が男という感じがしませんでした。そのメーリングリストがほとんど女性で占められているという事実もありまして。

英語に堪能なら、文面や表現からもある程度判断できると思うのですが、そこはガイジンの悲しさ。
もちろんそんなことは問題とするに及ばず、メールを書く上で支障はありません。

ところが、ひょんなことから、そのShawnを第三者に紹介するはめになりました。

ここで英語の難点が出てきたのです。
二人称で書いているうちは無視できた性別が、三人称となると嫌でも特定する必要に迫られます。

いやあ、今さら「あなたは男ですか」なんて、訊けませんよね。

あげく、「ショーンは・・・、ショーンの・・・、ショーンと・・・、ショーンに・・・」と、やたらと固有名詞がしゃしゃり出る、おさまりの悪い英文にならざるを得ませんでした。(もともと稚拙な文だから、細かいことにこだわってもしかたないんだけど。)

この「今さら訊けない」という感覚は、日本人特有のものかもしれません。
日本人は「以心伝心」「言わぬが花」など、饒舌を蔑視しますから。
その上日本語というものが「今さら訊かなくても済む」構造になっているのです。

外国人相手なら「今さら・・・」という気後れは捨て、疑問がわいた時点で率直に尋ねるほうが、後々のためです。

とあるアジア系・アメリカ人・女性(いずれも推定)と何度かメールの交換をしましたら、突然その人が「ところであなたは女性ですか男性ですか」と質問をぶつけてきました。
そこで「どうしてそんなことに興味があるのですか。あなたは私と結婚したいのか?」と返しました。
それきりメールは途絶えました。わははのは。

ヨーロッパ言語というものは、性別を曖昧にしては成り立たないという、不便きわまりない側面があります。
モノが無性になった英語はまだ可愛いほうだけど、ドイツ語やフランス語を学んだ人は、名詞や動詞にまで性別がある不条理に悩まされたはずです。

ところで、読書好きのかた、フレンチミステリの傑作『殺人交叉点(フレッド・カサック)』を原書で読んでみませんか?

愛称とハンドル

最近は日本でもそうですが、ファーストネームから性別を判断するのは、心許ないのでやめたほうが無難です。

男女兼用の名前はわんさかあるし、略称・愛称となれば、さらに混沌としてきます。アレクサンドラもアレキサンダーも略称はアレックスやサンディになります。ビリーやボビーはいかにも男名だけど、ウィルヘルミナやロバータの愛称だったりします。

名前のはやりすたりはどの国にもあるようで、近年は性別の垣根が壊れかけ、とりわけ男っぽい響きの名前を持つ女性が増えているように思えませんか?

ある名前がイギリスでは男女兼用だけどアメリカでは女性だけってこともあります。
名前が英語風でも英語圏の出身とは限らないし、マリアやアンヌという名前の男性もいたりします。

Runoは最後がoで終わるので、男っぽい印象があるようです。日本語はほとんどの単語が母音で終わるし、男女とも名前の最後にoはたいそうよく使われる、なんてこと、向こうの人は知る由もありませんね。

あちらの人はあまりハンドルネーム(handle)を使いません。本名がそもそもいくつもあるし、愛称で呼ぶのが普通だから、さらにハンドルが加われば、ややこし過ぎるのかも。

メールアカウントにハンドルらしきものを設定している人はいますが、本文でそれを名乗る人は少数です。
女性の中には、メールアドレスを夫と共有している人が意外に多く、アカウントが男性名というケースもあります。リチャードからメール、と思って読んでいくと、署名はエリザベスだったり・・・。どうしてそう無頓着なのでしょう。

ハンドルは使わないといっても、ジャンルによるみたいです。
ゲイらしき人々からのメールには、ハンドル(通称?)みたいな署名がしばしば見受けられます。

とある40代男性、かわいいハンティをどうしても作りたくて裁縫のレッスンを始めたのだとか。頭が下がります。
彼の名はハイジ(Heidi)でした。
・・・。
日本人の郷愁をぶち壊すのは罪だよっ(アルプスは日本人の心のふるさと)。

敬称は軽称?

さて、Eメールの交換から手紙や物品のやり取りにまで発展することもあります。

とあるエアメールの宛名を書きながら、やっぱり迷いました。
ファーストネームは男性だとほぼ断言できるけど、確証がなかったのです。

ダイレクトメールのように、Mr/Msをつけてもいいのですが、それも「今さら」じゃないですか。
結局敬称なしで投函しました。

そしたら返事には、自分の名前にMr.がついていました。

ここでひとこと。名前につけるMrやMrs.は、日本の「様」「殿」に相当するのではありません。
向こうの人はそれが「敬称」という認識を持っていません。

差出人である自分につけておきながら、相手の名には何もつけないことが往々にしてあります。
Mr.やMissは性別・既婚などの識別(それ自体が問題である)に過ぎず、不明の場合は書かないのが普通です。自分の名前につけるのは、情報公開という親切心なのです。私は不親切だから、というより、英語の不便さを厭うので教えてあげません。

ただし韓国や中国の人に英語で出す場合は、日本的配慮が必要でしょうね。






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