英語に関する小さなエッセイ知ったかブリッコの2004年版。
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2004/12/6
英語圏では時たま、Jesus H. Christという表記を見かけます。
「じゃあミドルネームはなんだろ、ヘンリーかな、ホレイショかな」なんて疑問を抱く人は英米にもいるようです。
ちょっと待った。
そもそも「キリスト」は姓ではないのですよ。「銭形」が平次親分の姓でないのと同じく。
当時のイエスさんは通称「ナザレのイエス」。ナザレは出身地です。「神田明神下の平次」のようなもんです。
イエス(Yeshua・・・Iesous)という名は「神(ヤハウェ)は救いである」を意味し、実にはまっていますが、ユダヤではありふれた男子名だとか。
キリストとは救世主のことですが、もともとは「油をかけられた」という意味のヘブライ語(mashiah)がギリシャ語(christos)に訳されて伝わった言葉。元のヘブライ語は直輸入でメシア(messiah)という語になっています。
古代イスラエルでは、血族が王位を嗣ぐとは限らず、オリーブ油を頭からかけられた者が指導者となるという風習があったとな。ダビデ王なんか、それで羊飼いから一躍成り上がっちゃったのです。
イエスさんが実際に油をかけられたかどうかは知りませんが、あのカーリーヘアが橋本某のようなポマード頭になったら幻滅だなー。
ところで、Jesus H. ChristのHはいったいなんなのでしょう? 謎。
2004/11/10
マッキントッシュはアップル。アップルといえばビートルズ。ビートルズにはリンゴ。そんな回り道をしなくても、マッキントッシュはりんごです。
カナダ生まれの林檎、マッキントッシュ(McIntosh)・・・和名は旭(あさひ)ですが、これを見たり食べたりしたことのある人は少数派でしょう。
りんごが1年中出回っていなかった時代、いち早く色づいて青果市場に秋を告げる旭は、初物好きに珍重されました。でも早いだけが取り柄で、あまりに酸っぱいため、次第に見離されていったようです。
なぜ酸っぱいかというと、日本では未熟なまま出荷していたからです。
食べ頃を見極めて流通させたアメリカでは、甘くて香りの良いりんごとして人気を保ち続けました。
アップルは、リンゴ界のスターにあやかって自社コンピュータをMacintoshと名付けたのでしょう。しかし愛機マックでコンピュータ界を制覇し、マック帝国を樹立しようとの野望は、自慢のマックGUIを模倣した(と彼らは言う)Windowsに阻まれ、あえなく崩れ去りました。
きっとマックという名は、世界制覇にはありふれ過ぎていたのです。
だってアメリカにはすでにマック帝国が存在しています。ハンバーガーのマクドナルドは別名McEmpireと呼ばれているのです。
2004/10/7
ずっと以前、"cat's whiskers" はどういう意味かと訊かれたことがありまして、私はわからなかったのですが、博識の訪問者に教えていただきました。「素敵なもの」とか「自慢できるもの」という意味だそうです。
その後辞書をよーく見たら、載っていました。ほかにも"cat's meow"や"cat's pajamas"も同じ意味で、素晴らしい人や物を指します。
いったいどういう経過で猫のヒゲや鳴き声やパジャマ(のようなつまんないもの・・・と言っては猫マニアが怒る?)が「素敵なもの」に変身したのでしょう。
英語にはもっと素敵なものがあります──bee's knees(ミツバチの膝)。な、な、なんでそんなものが?
それはさておき、上の質問をした人は、"Your site is the Cats Whiskers" と言われたそうなのです。本場の人から1度そういうふうに誉められてみたいものですね。
2004/9/6
日本語でも、「ざるで水を汲む」「死児の齢を数える」「すりこぎで腹切り」「屋上屋」等々、いろんな意味合い、シチュエーションの言い回しがあります。英語も同様らしく、辞書をめくって無意味な行為を捜してみました(これぞ無駄?)。
shoe the goose ガチョウに靴を履かせる。
milk the bull 牡牛の乳も搾れば何か出るかも。
beat a dead horse 死んだ馬を鞭打っても走るわけは・・・。
gild the lily そのままで美しいものによけいな手を加える。
carry owls to Athens フクロウはアテネの象徴だとか。
carry coals to Newcastle ニューカッスルは石炭の産地。
square the circle 無駄な努力。
look for a needle in a haystack 干し草の山で針を捜す。
「ゆでたニンジンで鍵をかける」なんてのも記憶の底にあるのですが、見つかりませんでした。
2004/8/4
コリー犬といえば、今でも名犬ラッシーを思い浮かべるかたは少なくないと思います。
幼いころ、コリーを飼うのが夢で、犬の絵はコリーばかり描いていました。でも我が家にいたのは、スピッツ。
コリー(collie)とは、ものの本によれば「黒い」という意味のアングロサクソン語なのだとか。
白いふさふさの襟巻に茶色のボディが一般的コリーのイメージですが、初期には黒い犬が多かったそうです。色が犬種名になったケースは非常に少ないので、よほど特徴的な真っ黒い犬ばかりだったんでしょうね・・・。
ところで、collieと黒色の関連は、私の辞書では解明できませんでした。ページをめくっていたら、石炭(coal)にぶつかりました。確かに真っ黒。
coalとcoleは兄弟語だそうですが、coleはキャベツのこと。コールスローのコールですね。ついでに、カリフラワー(cauliflower)のカリも同根。
そういえば石炭ってキャベツに形が似ているような・・・。しかし色も質感もかけ離れています。
私としては、石炭は黒いからそう名付けられた、つまりコリーの仲間だと思うのですが、いかがなものでしょう?
2004/6/30
英語には敬語やですます体がないので、見知らぬ人に依頼や質問のメールを送る際は気が引ける人もいるでしょう。
シンプルに率直に書けばじゅうぶんですが、もちろん英語にも礼儀正しい表現があります。
そのひとつが“I was wondering if 〜.”
『〜かしらと思っていました』と訳されますが、実は『〜してくれ』という意味です。
“I wonder”はぶっきらぼうで、“I wondered”はちょびっと丁寧。とっても丁寧なのが、上記の過去進行形。
以前そうかしらと思っていたとしても、今はそうでないならわざわざメールよこすなよ。なんてひねくれた受け止め方をするのは私くらいなので、覚えておいて損はありませんぞ。
“Could you...?”や“Would you...?”のように、過去形は現在形よりも丁寧な場合がありますね。
日本でも『ご注文は以上でよろしかったでしょうか』みたいな言い回しが定着しつつあります。本人はより丁重にしているつもりらしいので、広めたのは案外帰国子女だったりして。
2004/6/1
どの国においても、業界用語はわかりにくいものです。
身近なペット『猫』に関する用語は、おそらくアメリカのキャット業界で制定されて、そのまま日本に入り込んだのでしょう。中には英語の得意な人でも首をかしげるエキセントリックなものも・・・。
猫の体型は次の6つに分類されます(デブやヤセなどの個体差ではなく、品種ごとの特徴を示す体つき)。
コビー(cobby)・・・ペルシャ猫のように、ずんぐりむっくり。
フォーリン(foreign)・・・すらりとスリム。アビシニアンなど。
その中間に、セミコビー、セミフォーリンがあります。
フォーリンよりもさらにギスギスと細いのがオリエンタル(oriental)。シャム猫が代表です。
コビーよりも大きく、縦横にがっしりしていれば、サブスタンシャル(long & substantial)。メインクーンは10kg近い猫です。
Substantialはいいとして、cobbyは大きな辞書でしか見当たらない『英国の方言』です。ずんぐりした犬に用いられる程度で、一般的な言葉ではないようです。
そしてforeignとorientalは、太さや重さとは全く無関係の言葉。どうして細身の猫を形容することになったのでしょう。
アメリカ人には肥満が非常に多いから、異国の人はみんなほっそりという幻想を持つのでしょうか・・・?
2004/5/1
前回「ムズムズするカタカナ語」について触れました。
私は別にカタカナ語排除論者ではなくて、生硬な言い換え日本語よりは生のカタカナ語を支持します。でも原義がつかめず首をひねることもしばしばです。
エッセイで『ジャグシーに落っこちてずぶぬれ云々』というくだりを読み、ジャグシーってなんだろ、室内にあるようだが、jugsea(壺中の海)なら詩的かな〜などと、思いつく限りの綴りを調べてみたものの、判明しませんでした。
さもありなん、ジャクージ(jacuzzi 泡風呂・商標)のことだと知ったのは、だいぶ後でした。
TVのスポーツニュースは全く見ないけど、天気予報の前だから耳に入ってくることもあります。
漠然とこんなことを思っていました。
「あうえ」ってとこではよくサッカーの試合が行われてるから、大きな競技場があるんだろうな、東京か、はたまたスポーツで地域興しを図る僻地の村かも。
・・・まさかawayのことだったとは・・・。
スポーツ無知・地理苦手・英語ダメの三重苦を背負った私固有の現象だと言えましょうが、せめてアナウンサーさんたちが、アウエーのエではなくウェにアクセントを置いてくれれば、こんな勘違いは起こらなかった、と責任転嫁。
2004/4/1
近所に『キャナルシティ』という大型商業施設があって、若者で賑わっております。
その前を通るたびに、なんだかムズムズしちゃうんです。
内部に水の流れるところがあることからのネーミングだと思いますが、canal(運河)なら「カナル」のほうが発音としては近いでしょ。
そういう、「ムズムズするカタカナ語」って、いっぱいあるけど、そもそも大本の英語がややこしい。
mechanicが「メキャニック」でmechanismは「メカニズム」なんて事態に遭遇すると、カパシティが小さな私のおツムはパニクってしまいそ。
発音というものは、地域や階級によってかなり異なります。それは「言い易さ」から変化してきたのでしょう。
たった5つしかない日本語に比べると多岐にわたるように見える英語の母音も、結局は5つくらいに分類されそうです。
つまり、キャナルもカニャルもたいしたチギャーはにゃーのであって、そんな重箱の隅をつつくヒマに、単語のひとつでも覚えたほうが賢明ですな。
それはさておき、今回のタイトルは『キャナダの人はカナディアン』が、ちょっとだけ正しいのでありました。
2004/3/1
これが英国の現治世における国歌のタイトルであることは、日本人にもよく知られています。
ならば、その意味は?
『女王陛下万歳』『われらが女王に栄光あれ』など、通常は意訳されているようです。
そもそも、saveって動詞ですよね。なぜ三人称単数savesにならないんでしょ。
同様の言い回しに、“God bless you”や“God damn”などがあります。
カミ様って、文法を超越した存在なのでしょうか。
辞書には『仮定法現在』とあります。
劣等生なので、習った記憶がないけれど、仮定法の過去形なら、“I wish I were God”などと、外れた動詞使いゆえに、ちょびっと覚えております。
仮定法現在では常に動詞の原形が用いられます。現代では独立した構文は、主に祈願を意味するそうです。
“God save the queen”は『神が女王に加護を給わらんことを!』という祈りがこもっているのですね。
『君が代』も一種の祈願仮定文なので、英訳しようと思ったら・・・述語がなーい。
2004/2/1
聖バレンタインデーにチョコレートを贈るのは日本だけの習慣(お菓子屋さんの陰謀!)という認識は、すでに広く行き渡っております。
『女性から男性へ』も日本独自の制約であって、外国では一般に男性からカードやプレゼントを贈るということも、多くのかたがご存じでしょう。
実はもうひとつ、バレンタインデーにまつわる(?)、日本だけの風潮があるのです。
『大人の男が甘いものを好むのはみっともない』という、一種の社会的圧力です。
この前提を逆手に取った『男性へチョコを贈る』発想の斬新さが、菓子業界へ稀有な大成功をもたらした、とは、うがってますか?
英語で『甘党』を表す言葉sweet toothは、『酒好き』drinkerと対立する概念ではないようです。
(余談ですが、sweetの反対語は、saltyではなくsourだそうな。)
ロンドンの街角では、立派な身なりの紳士が自動販売機でチョコバーを買って、バリバリかじりながら歩き、包み紙を道端にポイ、なんて光景が日常茶飯でした。その結果イギリスには歯抜け男が多いという興味深い事実を指摘した人もいます(ホントだよ〜)。
2004/1/1
確かに新年は1度にひとつしか来ないけど、このAはいったい何? 英語で年賀状を書く人も、習慣的にAをつけているだけで、深く考えたことはないかもしれません。
そういえば Merry Christmas にもAはついてます。Happy Birthday では見た記憶がありません。
『和製語だから不要』との意見は独断です。本場の人もよくつけます。いつぞやは私自身“A very merry Christmas!”で始まるメールを受け取りました。
手元の辞書には『カードではしばしばaを省く』とありますから、本来あるべきなのです。
もっとよく調べると、正式な記述は“I wish you a happy New Year”です。wishは現実に反した願望(ほんとはそうじゃないけどそうあればいい)を表す語ですが、ここではそんな失礼な意味ではなく、『挨拶を述べる』という意味です。『私はあなたに新年おめでとうと言う』が直訳になります。
つまりaという不定冠詞は『〜という祝辞』を示す程度の存在なのでしょうね。
この挨拶は前もって言うことができます。
日本で大晦日に『明けましておめでとう』と言う人はいませんが、“Happy New Year”は12月下旬にはOKです。これも“I wish 〜”がつくという前提のためでしょう。“Happy birthday”との微妙な違いもその辺にあるのでは・・・?
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